勉強法が分からないのは勉強をしていないからだ。
「うちの子は勉強の仕方が分からないと言っているんですが…。」という言葉をよく耳にするが、その際、私は「勉強しないから勉強法が身につかないのではないでしょうか。」と答える。「え?」という表情をされるが、経験から、ほぼ的を射ているように思う。勉強の仕方が分からないと言っている生徒に、方法を教えても勉強するようにはならないからだ。勉強法が分からないのではなく、無意識のうちに勉強から逃げているのではないかと私は思っている。
私は受験勉強を生徒や保護者に話をする時は登山に例える。到頂を成功させるためには、本気で頂上に登りたいという気持ちがあるかが一番大切だ。受験で言えば「行きたい学校」に相当する。これが明確でない生徒には学習法ではなく別の観点からのアプローチが必要になる。
では、勉強法云々といつも言っている生徒に対しては、「まず一歩を踏み出せ。」とアドバイスをする。居心地の良い山小屋の中で、ああでもない、こうでもないと検討ばかりしていても頂上には1ミリたりとも近づかない。まず一歩を踏み出し、登りながら周りを見渡せば、急斜面や岩場の歩き方、便利な装備、天候の変化への対処などいくらでも参考になることがある。これらは実際に歩いているから気がつくのであって、山小屋の中でいくら素晴らしいレクチャーを受けてもあまり身につかない。まずは一歩踏み出すことから始めよう。